1946年3月、第二次世界大戦後の韓国で国軍創立メンバーの一員だった 崔泓熙氏は、韓国陸軍少尉として軍隊に空手を教え始めました。 この頃から本格的に武道の研究を始め、氏の日本留学時に修めていた空手、 テッキョン、他様々な武術を基に民族独自の新たな武道を作ろうとしたのです。 この時、最も重要視されたのが、技術と精神の融合であり、 精神修養には、東洋哲学と朝鮮の歴史を盛り込み、 技術体系には、現代科学の理論を取り入れました。 研究を始めてから9年目の1955年4月11日、名称制定委員会により正式に認定され、 ここに「テコンドー」という名の洗練された近代武道が生まれたのでした。 テコンドーの「」は、踏む、跳ぶ、蹴る、という足技を、「拳」は突く、叩く、受ける、などの手技を、 「道」は、礼に始まり礼に終わる人の道、すなわち、精神をあらわしているのです |
礼儀(れいぎ) | テコンドーは、礼に始まり、礼に終わる武道であります。 「礼儀」は人と人とを取り持つ絆を維持する為の備えなければならない人間としての基本として一番最初に挙げられています。 |
廉恥(れんち) | 人間として常に自分を見つめ、己の姿勢や行動を恥じたりする謙虚な心を身に付ける事が正しい道に進む為の重要な事になるのです。 |
忍耐(にんたい) | 人生には自分の力ではどうにもならない事もあります。 そういった状況を覆すにはじっと待ち、耐え忍びチャンスを待つという心を持つ事が必要になるのです。 |
克己(こっき) | 人は得てして感情に流されたり、楽な方向に目を向けてしまいがちです。そこで自己に打ち克つ勇気を奮い立たせる事で正しい方向に己を導く事ができるのです。 |
百折不屈 (ひゃくせつふくつ) |
自分の志を一筋に貫くためには、何度も挫折する事もあるかもしれません。しかし、あきらめないで挑戦し続ける強い意思こそが難局を打破する為の力となるのです。 |
テコンドーはその研究開発過程においては大きく分けて
精神面と技術面の二つの分野で進行されました。
精神面においてはテコンドーの正しい教育を通じて以下の項目の実現を理想とするものでした。
1. |
健全な精神と強い力を育て、各々に於いては常に正義を貫ける自信力を持てる様にする。 |
2. |
宗教、人種、国境、思想に拘らず全ての人間が兄弟のような関係を持つ為の媒体となる。 |
3. | 正義と道徳、信義と人道主義が最上となる平和な人類社会の建設に献身すること。 |
技術面においては、どんな状況にも対処できる動作と方法を下項目に重点を置き研究されました。
1. | 全ての動作は科学的公式と原理によって人間の持つ最大の力を出せるようにする。 |
2. | テコンドーを全く知らない者でも動作の正しさと誤りを容易に判定出来るようにする。 |
3. | 角度と距離を明確にすることによって効果的な攻撃や防御を行えるようにする。 |
4. | 各動作の持つ目的と方法を明確にし、容易に習ったり教えられたり出来るようにする。 |
5. | 合理的な教育方法をもってして老若男女、誰もが分け隔てなく修練出来るようにする。 |
6. | 正確な呼吸法をもって速度の増加は勿論、疲労を減少させるようにする。 |
7. | 人体のどの急所でも攻撃可能に、またはどの攻撃においても防御可能にする。 |
8. | 人体の構造特性によって使用可能な攻撃部位を明確にする。 |
9. | 体育や娯楽としても楽しめるようにする。 |
10. | 柔らかくリズミカルな動作をもって美的感覚を表現できるようにする。 |
11. | 健康増進を促す反面、児童達の発育成長を妨げたり、けがを負ったりしないようにする。 |
12. | 各トゥル(型)に象徴される人物及び事柄の精神と活動を動作で表現する。 |